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≪7日目≫

 かなりひどい波!!気持ち悪いとか食欲がない訳では無いが、横になっていれば酔う心配も無いのと前3日間に興奮し過ぎた疲れから朝食はパス。昼食に参加。7割ほどが集まっていた。行き程ではないが、やはり参っている人が居るらしい。お昼はトーストの上に、牛肉、玉ねぎ、チーズが乗っていて、それにあんかけの様な物がかかっている。結構なボリュームだった。

 やはり大波に逆らって行動するのは辛いので、部屋に戻って再びベッドへ。その後のおやつタイムでマーブルケーキを食べたのと、全く動かない為、空腹感もゼロ。夜御飯はパスした。荒れていて船はスピードを出せないらしい。この、いつも荒れている魔のドレーク海峡、昔から南極を目指した多くの冒険家達を悩ませたらしい。この海峡が有るからこそ、南極が永遠に秘境でいられると聞いた事がある。あのペンギンの鳴き声と、時々起こる雪崩以外は静まり返った楽園が懐かしい。昨日の事が早くも夢のよう・・・。

≪8日目≫

 朝御飯に今日は参加。リーダーより、ハリケーンと酷い荒れを避けた為、大幅に航路をチェンジした事を告げられた。かなり、到着は遅れる見込みで、この分だと飛行機がやばいかも。。鯨が沢山居ると言われるホーン岬にも寄る時間が無いそうで、がっかり〜〜↓↓↓鯨のダンスを楽しみにしていたのにぃ(涙)。。

 お昼はサラダにチーズ、チキン、フルーツサラダ。夜はキャプテンを招いてのディナーだった。ひげもじゃの、映画タイタニックのキャプテンに似た雰囲気の人で、どう聞いてもロシア語に聞こえてしまう英語スピーチだった(彼がロシア人だったので)。この素晴らしい船旅を支えてくれたスタッフや船員への感謝の拍手の山で、なかなか感動的な、さよならディナーだった。クルーの1人が、これまで23回南極に行った中で(羨ましいお仕事!)、今回ほど最高の天気で最高の上陸が出来た時は初めてだったと語ってくれた。そう言われると何だか嬉しい。

 記念写真を皆と撮って、夜12時を過ぎてもライブラリーで話し込んだ。短いけど凝縮された旅で、折角出会った皆と別れるのがとっても寂しい。ツアーでアメリカから一緒だったアメリカやカナダの人以外に、この船には色々な国籍の人が乗っていた。こんな所で6人の日本人にも出会えた。いつ終わるか分からない世界一周旅行をしている人や、南米を長期旅行している人等、皆リュック1つでとてもパワフルだった。パタゴニアを旅してたKeikoさんとは帰国後、何回か会えたし、南米を旅してたAkkoちゃんは旅で出会った人とゴールイン。素敵な結婚式ではピアノを弾かせてもらって感慨ひとしおだった。その後、他の人も無事に良い旅を終えられたのかな??人との出会いって面白い。そんな日本人仲間達に、念の為持って来たものの、食べる必要も無かったミニカップラーメンのセットをあげたら、皆大喜びだった。海外に長く居るとお醤油味に飢えるもんね(笑)

≪9日目≫

 朝7時半までに荷物を部屋の外に出しておく様にとの指示で、12時過ぎまで皆と別れを惜しんでいたのと、荒波の中でのトランクを押さえながらの効率の悪いパッキングで、殆んど徹夜。眠ッ。。少しウトウトして目覚めると波は嘘のように落ち着き、窓からは久々に茶色い大陸が見えた。ビーグルチャンネルに入った模様。途中で水兵が乗り込むアナウンスがある。今回のこの南極の上陸の為に、日本からはるばる持って来た大きな長靴。大活躍してくれたけど、トランク内で場所は取るし、持ち帰る必要も無い。この船に残して行けば、その後も南極に行く人達に貸し出されるとの事で、そっと置いてきた。私の分、何回も何十回も南極の大地をしっかり踏み締めて来てね♪

 船旅、最後の朝御飯。フレンチトーストにハム、フルーツ。ロシア人船長、頑張ってくれたみたいで、当初4時頃になるかもと言われていた到着予定時刻は11時半になるそうだ。良かった良かったと喜ぶも束の間、私たちツアーのブエノスアイレス行きフライトは既にキャンセルされたと聞きゲゲッ!!PM6:40のフライトしか無く、今日はブエノスアイレスにもう1泊せざるを得ないとか。嬉しい様な、心配な様な。。何と言っても乗れなくなってしまった最終、ニューヨーク⇒日本へのチケットの運命が大問題。

 船はウシュアイアに到着。この9日間、空、海、氷山、雪、ペンギン、アザラシ・・・と、ほぼモノクロの世界に居たのでカラフルな町並みを見たら、目がチカチカした。人間界に戻って来ちゃったなぁ。。慌しく皆と別れ、私達は4時までウシュアイアにて自由時間。と言ってもホントこの町、する事が無い!生意気にも店はシエスタだし。。仕方ないのでお散歩がてら1本のみのメインストリートを行ったり来たり。又会ったね〜(笑)と行き交う人は、皆、サヨナラした船仲間だった。4時発、バスにてウシュアイア空港へ。再び6:40までする事無く待ちぼうけ。ウシュアイア空港はログハウス調の、なかなか洒落た空港だった。

 4時間のフライト後、夜11時過ぎにブエノスアイレス着。日本に電話する。12時間の時差は大きい。久々に揺れないベッドで、おとなしく、ちゃんと寝た気がした(笑)

 翌日は、私の誕生日。南極でその日を迎えられたら良かったのに不運にも、ほぼ24時間ずっと飛行機の中。ずっと雲の上に居る誕生日も珍しいけれど。。ブエノスアイレス⇒ニューヨーク⇒成田と連続してひたすら乗り継いだ。移動、飛行機、移動でいささかグッタリしながら南極ってやっぱり遠い。究極の秘境だわ〜と痛感。

 こうして、憧れの南極への旅は終わった。帰国後、久々にピアノの前に座ってみた。1日練習しないと3日分、腕が衰えると言われるこの世界、2週間もの間、一度もピアノを触らない旅に出掛けてしまうピアニストは、そう居ないと思う。多少は指の筋肉が落ちた気もしたが、実際弾いてみてビックリした。今まで、努力しても理想の表現が出来なくてイライラしていた曲の中のこれ!と言う音色やフレージングが、ふと出来る様になっていた事。よく、英国の田舎の景色をぼんやり眺めていると曲のイメージが沸々と湧いて来る事があったが、南極の強烈な別世界の光景も、人生観や音楽観を変えてくれた様に感じる。ペンギン達に感謝かな??

 仕事を沢山し始める様になって、2週間以上の大きな休みなんて取れなくなってしまった。もう一度行きたい国は?と聞かれると再び訪れたい所も山の様に有るけれど、大きな休みが取れて予算が許すなら、やっぱりもう一度南極を選ぶだろう。今度は更にゆっくりと訪れたい。銀婚式か何かで、おばあちゃんになってからの楽しみに、この旅の予定は取っておこうと思っている。