Spain 2

 

バルセロナ、カルタヘナ、へローナ近辺、フィゲラス  マドリード、セゴビアへジャンプ♪

 

 

有意義な1週間を終え、はるばる来た道を戻る。マドリッドまで戻った所で、ここからは楽譜も邪魔な(笑)Holiday!! 

 1weekのスペイン浅漬けで気分はすっかりラテン人になった私は、マドリッドから南下してグルッとアンダルシア地方を周る旅を計画♪マドリッドにてロンドンでの友達2人と合流して、ひよこピアニスト3人旅をする事となった。待ち合わせ場所にて、再会したはものの大事件発生!!私と会う直前の彼女達の到着直後、空港でごっそり荷物を盗まれてしまったのだ!早速空港警察へ。さすがに鍛えられた私も、このジャンルの単語にはお手上げ。しかしこの国、空港と言えども英語を話せる署員は1人も居ない。スペイン人はヨーロッパ一、(いや世界一?!)英語を話せない。フランス人の話さないとは訳が違う。日本人級・・・いや、以下(苦笑)。強かった時代の名残でスペイン語が世界共通語だと未だに多くの人が信じているらしい。仕方なく辞書を片手に頑張った。チケット、パスポートの再発行で大使館やら色々な所を駆け巡り、これまた珍しい体験をした。大使館に行って更にびっくり。荷物やらパスポートを盗まれた日本人で溢れていた。この国、悪い奴もどうやら多いみたい。全ての手続きも済み、可哀想に凹んでいた彼女も段々元気になり、いよいよ旅を開始。

まずは温室みたいなアトーチャ駅より2時間ほど。途中、オリーヴ畑や向日葵畑等を、楽しみながら着いた所はコルドバ。思っていたよりとても小さな町。イスラムやユダヤ、キリスト教と色々な顔を持った長い歴史を感じる町である。マドリッドより公衆電話でガイドブックに載っていたホテルを予約しようとしたところ、満室。親切にもお勧めホテルを紹介してくれた。『Hostal la fuente』と言う名のホテル。早速電話したら快くOKしてくれた。コルドバ駅より迷いながら探し歩き、辿り着いたホテルは期待以上だった。アンダルシアらしいパティオも有り部屋も綺麗、冷房も完璧、おまけに格安でお勧めである。住所はCalle San Fernando51、電話は487827。荷物を置き、町を探索。真っ白い壁に鮮やかな花がとっても似合う迷路の様なユダヤ人街、ポトロ広場等を歩き回り、日が暮れたところで晩御飯。大して期待せず入った小さなレストラン(と言うか食堂。。)が、これまた大当たり!全くお洒落度は無いけれど、ガスパッチョやパエリアが過去食べた中でダントツの美味しさだった。メスキータすぐ近く、『El Tablon』住所はCardenal Gonzalez75。古い情報だけど、まだ在るはず?

翌日は朝から世界遺産、メスキータへ直行。ここはイスラム教とキリスト教の2つの宗教が同じ屋根の下に同居している何とも不思議な空間。もともとは、バグダッドに負けないモスクを作ろうと785年に作られたものらしい。アラベスク天井や赤と白の縞模様のアーチ、メッカの方向を指すミーラブというくぼみ等、異国情緒たっぷりの空間。16世紀、カルロス5世により市民の反対を押し切り、強制的に作られたというカテドラルが、中央に突如存在して妙な組み合わせだった。本来は開放的で明るい部分が全てこの時に塞がれてしまい、内部は薄暗く、真夏の8月でもひんやりと涼しかった。

       

お次は再び電車に乗ってセビーリャへ。アンダルシア最大の都市であり、コロンブスの町、ビゼーの『カルメン』の町、モーツァルトの『ドン・ファン』の町・・・と、きりがないらしい。カルメンの舞台となった場所だけに、フラメンコの本場である。

      

コルドバに増してアンダルシアらしくなって来た。何軒か周り、コルドバの時みたいな、真っ白なスペインらしいオスタルに決定。荷物を置き観光名所を歩き渡る。まずは、街のどこからでも見えるカテドラル&ヒラルダの塔へ。このカトリック寺院、やはりコルドバ同様、元はイスラム教のモスクで15世紀に改造されたそう。イスラム教勢力とキリスト教勢力の対立が、アンダルシアはそこかしこに見られる。宗教の対立って昔も今も、世界中、永遠に解決出来ない大きな壁なんだな。。

     

ここ、セビーリャで闘牛を見たいと友達2人が希望、私は超苦手分野なのだけど折角本場に来た事だし・・・と早速探してみる事に。セビーリャにある大きな闘牛場は生憎、お休み。残念だったね(内心ホッ。。)、と言いながら立ち去ろうとすると、『セビーリャ郊外の小さな闘牛場でなら見られるよ。』と、通りすがりのおじさんが教えてくれる。村の名前と行き方を教えてもらい、バスに乗って1時間弱、小さな小さな田舎に到着。・・・で、言われた通り、闘牛場に向かうと、嘘ばっかり。こちらもお休みだった。はるばる来た記念にと、怪しげな格好の闘牛士のお兄さんがずらりと並ぶポスターをもらい、裏の闘牛小屋もチラリと見せてもらった。

このスペインと言うお国。特にアンダルシアで感じたのだが、皆、とっても親切。ちょっと立ち止まると『どうしたの?』って、すぐに聞いてくれる。しかし、しかし、これらの方々、こちらが質問をしてみると『分からないなぁ、ごめんね。』とは言えない人種らしい。自分が知らなくとも、取り敢えず滅茶苦茶を教えてくれる。道なんて尋ねたら最後、皆、言う方向がバラバラ。灼熱のアンダルシアで、何度もこんな目に遭った。でも、このいい加減さが、又、憎めない。この、郊外の闘牛場に行ったバスでも、全く知らないおじさんが(当たり前だけど)、いいよいいよ、座ってな!と運賃を3人分払ってくれたり、夜に地元のスーパーに買い物に行けば、『何飲みたいの?持っておいで♪何〜でも、ここにある物、好きなだけ食って飲んで行きな!乾〜杯♪♪』と店主に言われ、レジをテーブルにして宴会が始まっちゃったりホント、ラテン系。これで商売成り立つのだろうか?と心配になるお店もチラホラ。この底抜けの明るさが、大好き。

本場のフラメンコも堪能し、街はあらゆる所を歩き回り(皆がデタラメ教えてくれたお陰?!)、アンダルシアの大都市をしっかり楽しんだ。お次はグラナダへ。憧れのアルハンブラ宮殿のある町。より一層、土臭く、ひなびた独特なアンダルシアらしさが漂ってきた。アラブ色がグンと強くなる。約800年近くイベリア半島を支配していたイスラム教徒の最後の砦であったこの町には、生活、芸術の中に今もアラブの文化の香りが強く残っているそうだ。グラナダとは、スペイン語でザクロを意味する。街のあらゆる所で、ザクロの絵を目にする。1日目は、イサベル女帝の眠る王室礼拝堂や教会、迷路のようなおみやげ物マーケット等をグルリと周り、翌日は朝一で坂を登り、アルハンブラ宮殿へ。

        

アラビア語で『赤い城』を意味するこの世界遺産、アルハンブラ宮殿。アラブの息づかいが今も聞こえるような別世界に引き込まれる。12〜14世紀に建築されたイスラム文化の集大成の宮殿は、4つの部分に分けられる。要塞のアルカサバ、王宮、庭園のヘネラリフェ、カルロス5世宮殿である。内部の各部屋の壁、天井に施された精密な装飾には、圧倒させられる。降って来るようなイスラム美術の結晶にただただ、ため息。宮殿内の窓からは、真っ白な家で埋め尽くされるアルバイシン地区やサクロモンテの丘等が一望出来、こてこてアラブの世界から、ちょっとホッとさせられる。更に進むと、可愛らしいライオンの中庭に辿り着いた。見た瞬間『あっ、メイワンの噴水だ!』と思ってしまったが(ローカルネタでごめんなさい。笑)、この中庭には12頭の石のライオンに背負われた噴水がある。かつては時計になっていて、1時には1頭のライオンの口から、2時には2頭の口から水が流れる仕掛けになっていたそうで興味深い。他にも数多くの噴水や、鏡のような美しさの池等が点在して、どこを見渡しても芸術。でも、説明書に目を通してみると、これらの噴水、ハーレムの女性に近付いた男性の、はねた首を洗ったり、見せしめで飾ったりしていたらしい。トホホ〜と、今も流れるそれらの噴水を見ながら、寒くなった。何と言ってもお勧めは、ヘネラリフェ。『全てを見尽くす者の住む楽園』と言う意味を持つ巨大庭園である。王様の夏期の別荘。真夏の太陽に、キラキラと水が輝いて、花々と噴水が本当に美しい。アルハンブラより10分程歩く距離だけれど、お見逃し無く。

グラナダで最も古い地区、迷路の様に入り組んだアルバイシンを行く当てもなく、さまよう。真っ白い壁に色鮮やかな花々と、陶器が飾られ、コルドバのユダヤ人街より、更にアラブっぽい。この地区から望むアルハンブラの夕暮れは絶景で『赤い城』と呼ばれていた意味がここで納得できた。グラナダで飲んだアホスープ、Sopa de Ajoは絶品!(アホとはスペイン語でニンニクの事。因みに、バカが牛、トロが闘牛の事。笑)名物料理なので是非飲んでみて下さい。

電車とバスにてアンダルシア地方を周った後は、再びマドリードへ。今度は、夜行の長距離バスにて移動。予定よりも早い到着で、夜中の4時にマドリードの街中に放り出されたのには参ったが、バスの移動もさほど苦痛ではなかった。治安は余り良いとは言えないので、24時間営業のカフェを見つけ、日の出を待った。マドリードで滞在していたオスタルに再びチェックインして身軽になり、今度はトレドへ。

マドリードより70km、電車で1時間程のこの町も、アンダルシア同様400年に渡り、イスラム教徒に支配されていた為、イスラム文化は根強く残る。三方をタホ川に囲まれ、丘の上に忽然と現れる中世の城塞都市を見ているとタイムスリップしたかの様。1561年にマドリードに遷都するまで、このトレドが首都だったそう。トレドの銘菓、マサパンは最初にトレドを占領したアラブ人によってもたらされた物でアーモンドと砂糖を練って作った甘〜いお菓子。お土産にする程ではないけど、お試しあれ。アンダルシアを周った直後だと、こちらのイスラム文化は淡白に感じてしまうけれど、マドリードからの日帰りコースには最適の場所である。

  

マドリードでは美術館巡り。プラド、国立ソフィア王妃芸術センターを足早に見て、この街の美術館のレベルは半端じゃないと驚く。余りの量の多さにじっくり見られなかったので、絶対又改めて来るぞと決意。市場にて、大量に生ハムやチーズ等買い、ロンドンへ帰る支度。今回のこの長い滞在で、更にスペインの魅力にハマッた私♪確かにマドリードより下に行くと治安はグンと悪くなった気がした。マドリードでは刃物で脅されて金品全て盗まれた日本人にも会ったし、ホテルの外から夜中に悲鳴が聞こえて凍りついたりもした。ジプシー等にピリピリもしてハプニングも有った旅だったけれど、良く食べ、良く歩き、どっぷり浸かって、何よりもスペイン人の陽気な暖かさに接する機会が沢山有って思い出深い旅となった。又、来なくっちゃ!