Spain 

 

マドリード、コルドバ、セビーリャ、グラナダ、トレド  マドリード、セゴビアへジャンプ♪

 

まさに太陽の国。お日様に向かってズラリと並ぶ向日葵がぴったり。大学の間、第2外国語でスペイン語を選択せざるを得ない状況となり、必死に勉強した。イギリスに行くまで、中学、高校と6年間も義務教育で習ったにもかかわらず私の英語は御粗末そのもの(特に会話)。教育の何が違うのか?ABCの読み方から始めて、半年で一応の読む、聞く、書く、話すの4つが全て出来るようになる。ま、卒業しないと!というプレッシャーから、かなり真剣にやったのも事実だけど。そんな経緯もあって、この国には妙に親しみを感じる様になった。

 同じヨーロッパなのに他国と何か違う独特な土臭さが残る。飛行機の窓から見てもイギリスの緑々した大地と違い、一面茶色。乾いた大地に、よく見るとオリーブの木が点在する。人々はとても暖かく優しい。ガスパチョ、パエリア等の食べ物も本当に美味しいし物価も安い。

 初めてスペインに足を踏み入れたのは96’年の4月。イースター休暇中で、4月末の大きなスペイン語試験の前に実際本場で見聞きしたくなった。行き先はバルセロナ。バルセロナの大学に留学している幼なじみが居たので、ばっちり&たっぷりバルセロナの魅力を教えてもらえた。

 

 バルセロナはスペイン全土の中で最もスペイン特有の土臭さのない異質な所。と、言うか街全体がガウディ一色といった感じである。一週間以上、毎日そこかしこに出会えるガウディの建造物を目にしているとガウディパワーにハマる。彼独特の世界が街全体を彼の個性で染めている。

   

 中でもお気に入りはグエル公園。遊び心一杯の芸術の塊!といった異次元の公園だった。こんな所で、小さい頃から遊んでいたら感性豊かに育つんだろうな。。あとは、何はさておき、やっぱりサグラダ・ファミリア聖堂。バルセロナオリンピックでの映像が記憶に新しかった。地下鉄を降り、ふと空を見上げた時、この異様な建物が目に飛び込んできて鳥肌が立った。かっこいい!!着工して早120年、100年前に出来た個所と最近作られた個所とで石の色が時の流れを物語っている。あと完成までに200年要するそうだ。…が、仕事していない。。スペイン人達に聞いてもクレーンが動いているのを見た事が無い等、かなりのゆっくりペースの模様。日本のゼネコンでも参入すれば躯体はすぐに出来ちやうのでは??との意見もよく耳にする。1つ1つの細かい彫刻等の芸術面では確かに恐ろしい時間とガウディの意志を継げる偉大な才能がどこまでも必要だと思うけど。さて、ここの管理人のおじさんに閉館まで待ってたら案内してあげるし、いい物も見せてあげるよ♪と言われ幼なじみと残る。閉館した後誰もいない教会内を3人で歩き回る。空が暗くなり始めた頃、リフトで頂上へ。昼間にも石段をせっせと登り眺めた景色だったが、ライトアップされたサグラダ・ファミリアの頂から見るバルセロナの夜景は格別☆☆☆・・・しかし、この管理人、実はセクハラおやぢだった。。友達と私、交互にキスの嵐でヒリヒリ肌荒れするほど。この程度で済んで良かったけど、世界どこでもタダ程高いものは無いと痛感。でも、この絶景、一見の価値は有ります!これに耐えられる方は是非(笑)

       

バルセロナに居た、他の芸術家と言えばピカソとミロ。狭い路地を入ったところにあるピカソ美術館は9歳の頃から『青の時代』までの多くがずらり。初期のデッサン等の真面目な作品が多く、やっぱり天才中の天才。あそこまでの完全完璧なる基礎の習得があってこそ、彼独特の異次元の世界の才能が開花した事を実感。ここでのベラスケスの大作『女官たち』をもとにした58点もの連作はかなり、おかしかった。

  

オリンピックのマラソンで『心臓破りの坂』として有名になった、モンジュイックの丘にある、ミロ美術館(可愛い!)、カタルーニャ美術館、カテドラル裏のフレデリク・マレー美術館等も見て周り、芸術がそこかしこに転がるこの街を堪能する。

この旅の中で、1日郊外に行ってみよう♪と夜行電車に乗って、彼女とプチ旅行に出掛けた。バレンシアかクエンカにでも行ってみようかと。・・・で、2人とも爆睡。『終点だよ〜』と車掌さんに起こされ、ハッと起きるが時すでに遅し。目的地の倍、電車に揺られ、全く聞いたことも無いガイドブックに載ってもいないカルタヘナと言う街に辿り着いた。いい加減なもので切符のチェックも何も無く、半分の値段でここまで来れた、けど何も無い。取り敢えず港町だったのでシーフードをたらふく食べ、街を散策。ここまで南に来ると、各家の庭の大きな木に大きなレモンがいっぱいなって絵になった。大きな禿山が目の前に飛び込んできたので早速登山。荒涼とした、アフリカチックな大地で、まぁのんびりしよう♪と山の中腹で再びグウグウお昼寝。これはこれで、意外な楽しいハプニング旅行だった。このラテン系幼なじみ、のぶちゃんのお陰でこの国が大好きになったし、もっともっと知りたくなった。

4月末のスペイン語試験にクリアし、何だかスペイン語の魅力にハマッた私は、8月に再び訪れる。今回は思いっきりスペイン人の中で過ごしたい+αついでなら、ピアノを弾きにでも行くかと、スペインはスペインでも、とんでもないへき地のミュージックサマーコースを選んでみた。ロンドンヒースローよりマドリッドへ。国内線乗換えでバルセロナに飛び、電車とバスを何度も乗り継ぎ、やっと辿り着く。余りに不便な所で、ロンドンの我が家から目的地まで14時間も掛かってしまった!(日本に帰る方が近いぞ)

 日本人は私1人、スコットランド人1人、残りは全てスペイン人という望み通りの最高の環境で楽しい1週間を送れた。その小さな小さな村の人々にとっては滅多に見ないアジア人だったのだろう。町を1人で歩くのが気まずくなる程、皆がジロジロ見る(汗)。勿論、サマーコースに参加のスペイン人達は皆、マドリッドやバルセロナ等の都会から来た若者が殆んどで、アジア人慣れしてたか国際的だったのか、とても暖かく接してくれた。3度の食事は毎日皆で決めたBarに集合。レッスンが終わる夕方になると、毎日全員で車にて更に田舎へと繰り出す。良く笑って良く喋る。絶えず冗談を言い合う彼らにラテン人の底抜けに明るい人間性を間近で見て、感じる事が出来て幸せな思い出となった。唯一の、このサマーコースを選んだ私の大失敗、それは担当の教授が大の日本人嫌いだった事!直弟子達によると、過去に何か有ったらしい。一応無理して接してはくれたが一度も目を見てくれる事も無く、人種差別の大きな壁を感じた、こちらはちょっと辛い思い出となった。

     

 このコースを通じて強く感じた事は、スペイン人には他のヨーロッパの国々とは全く違う独特な音楽の感性、血が流れていると言う事。彼らには失礼だけど一般的なクラシック音楽のレベルは他の国と比べて驚く程、まだ発展途上である。しかしグラナドスやファリャ達、お国の曲となると水を得た魚の様にスペイン音楽の世界を見せてくれる。スペイン人のスペイン人による本物のスペイン音楽だ。以来、他の国の人の奏するスペイン音楽が聴けなくなってしまった。勿論、自分自身の演奏もである(笑)。スペイン音楽は勉強はするけれど、公では弾くまいと決めている。もう1つはラヴェルについて。フランス音楽の代表者であるが、実は彼の母親はスペイン人で、本人もバスク生まれである。この点から全くのフランス音楽としてではなく、半分スペイン人である彼の音楽のスペインサイドからの解釈を学ぶ事が出来て、目からウロコの発見だった。フランス物を演奏する機会が極めて多い私にとって、この発見が最も大きな収穫となった。

 さて、サマーコースも無事終わり、折角近くまで来たのだからとバスを乗り継ぎ、フィゲラスのダリ美術館に行ってみた。個人的には、ダリのジャンルは余り得意ではない。けれど、この奇想天外な芸術家のスペインパワーも浴びてみたくなる。芸術強化週間として(笑)。誰が行っても迷わず発見出来る強烈な外観。赤い壁には無数のパンが、屋上には大きな卵が幾つも並んでいてユーモアたっぷり。中もアトラクションそのもの。ダリワールドに漬かりながら、ダリ、ガウディ、ピカソ、ミロ・・・と余りにも個性の強い、悪く言えばちょっと狂った系の独特なアーティストを生み出すこの国って何?!と笑えてきた。私のお気に入りはダリ版、マルガリータかな?

    

つづく⇒