United States

 

大学や語学学校に過去に留学、もしくは現在も滞在中の友達が数多く居る国。アメリカはいつでも行けるや♪と思いつつ、いざ旅行となると他の国を優先してしまい、なかなか訪れるチャンスがなかった。実は、いまだにハワイにも行った事がない。

今回アメリカ上陸が実現したのは、南極旅行のお陰。日本からまず、ニューヨークへ飛び、そこからアルゼンチン入りした為、辛うじてアメリカ本土に初上陸!世界の大都市といわれるN.Y.に3日間滞在できる事になった。

南極の氷が、地球温暖化現象の為、どんどん溶けて海の水位がどんどん上がり続け、このままでは将来水没するであろうと囁かれているイタリアのヴェニス、オランダ、そしてこのN.Y.。飛行機の窓から覗いたその大地は、本当に海面すれすれの街だった。ジョン・F・ケネディ国際空港に到着後、タクシーにて中心街へ。

確かに大都会。所狭しと高層ビルが乱立して交通量もクラクションも、行き交う人々の量も半端でない。英国同様、この国も人種のるつぼ。あらゆる人種が共存する街なのだ。滞在したホテルはカーネギーホールのすぐ近く。演奏会を聴くチャンスには恵まれなかったものの、これが天下のカーネギーね♪と、その重厚な建物を連日拝んだ。ラッキーな事に、ホール脇にある楽譜屋さんも発見出来、楽譜を購入。帰りが非常に重くなるのが痛い所だけど、この職業、楽譜を買っても買っても、まだ足りない。なので、海外の旅で楽譜が買えると嬉しいし、日本の半額で洋版が買えるので有難い。

さて、ホテルにチェックインして、すぐ、街を探索。まずはN.Y.一高い所から摩天楼を見渡そうと、ワールド・トレード・センターに地下鉄で向かった。この時は、半年後に起こる大事件なぞ、予想もせず・・・。オフィス、レストラン、ホテル等、500以上の企業が入る国際的なビジネスの中心地である。ビシッとスーツ姿が決まったビジネスマンや、いかにもキャリアウーマンって雰囲気のかっこいい女性が闊歩して、いかにも想像していたニューヨークらしい光景。当時、世界第2位の高さを誇ったビル、ツイン・タワーに上った。高さ420m、110階建てのこのビルの107階の展望台からの眺めには、圧倒。。どんな高層ビルも、遥か下に建ち並び、改めて、ここが世界最強の金融経済大国のシンボルなんだと実感させられた。反対側のキラキラ輝く海の上に浮かぶように建つ、自由の女神もはっきり見えた。展望台にはどこの国のそれも同じ様に、やたら高いだけで美味しくなさそうなカフェテリアや、自由の女神のスタイルをしたテディベア、貿易センタービルのオブジェ等のB級お土産物屋があるのみ。360度、大パノラマの眺望だけを、存分に楽しんだ。あの事件の衝撃もあるのか、今でも、この頂上からの眺めは鮮明に脳裏に焼き付いている。

    

基本的に私は余り都会や、モダンな物に興味が無い。旅をするにしても、大自然や野生動物を満喫出来る国に行きたいし、建造物も古くて重たいものが好みである。それ故に、“Time is money”と言わんばかりに時間も人も、散歩する犬まで、皆、忙しそうな世界の中心地に感心しつつ、滞在中もイマイチこの街が好きとは思えなかった。ビジネスをバリバリこなす実業家にとっては、ゾクゾクする程の憧れの地なんだろうな。

さて、この滞在中、密かに期待していた事がある。それはお宝捜し。何を隠そう、私は大の西洋アンティークきちがい(笑)。元々の食器好きが高じた事もあるが、イギリス滞在時にアンティークの魅力にズブズブと底なし沼のように入り込んでしまった。あの世界は一度ハマると抜け出せない。現代の材料、技術、感性等の芸術性では再現不可能な18,19世紀当時の美術品を見ていると何かに取り付かれた様な感覚に陥る。ロンドンではアンティーク関連の本を読み漁って勉強して、大学が終わるとサザビーズやクリスティーズに通い、世界に1つしかない、これからオークションに賭けられ、大富豪の元に嫁いで行く芸術品を間近で見て目を肥やしたハマりっぷり。通っているうちに顔見知りになり、仲良しになったアンティーク屋のおじさん達にも、同業者だと勘違いされていた程の親不孝ぶり(スミマセン笑)。そんな私なので、このN.Y.では19世紀のアンティークティファニーのお宝に出会えるかな?とちょっぴり期待していた。アンティークセンターやショップを歩き回ってみる。自分でも不思議な感覚なのだけど、お店に入り、ザッと見渡すと5秒以内にその店に、お宝が有るか無いか、すぐ分かる。お宝は直感で1つだけ輝いて見えるから★でも、この出会いは何千、何万のうちの1つ。99.9%はアンティークとしての美術品ではなく単なる中古品。いわゆるジャンク(ゴミ)と言われる物である。『Hello !』と笑顔で入ったと思いきや,5秒で『Thank you, bye !』と去る事、軽く50件。ん〜。。ニューヨークでは、お宝に出会う事は出来なかった。残念!ま、お宝に出会えない日は虚しいけれど、出会ったのに大幅予算オーバーなんて時の方が、実は最も虚しい(笑)。今回は御縁が無かったと言うことで・・・。下調べ不足だったかしら?

2日目の夜、今度は夜景の街を見ようとエンパイア・ステート・ビルに上る。キングコングで有名な摩天楼の往年のシンボルで、1977年にワールド・トレード・センターに抜かれるまでは世界一高い建造物だったそう。W・T・Cに較べると華やかさには欠けるビルだけど、102階の展望台から見る、摩天楼の夜景は素晴らしい。それにしても、この屋外展望台、寒かった。。2月のニューヨークの102階(381m)の夜空で吹きっさらしだもの、当たり前。

晩御飯にリバー・カフェを選んだ。マンハッタンとブルックリンの間を流れるイースト・リバーに架かる吊り橋、ブルックリン・ブリッジや、見事なマンハッタンの金融街の夜景が眺めながら食事の出来るレストランで、雰囲気抜群♪味も海鮮物が美味しかった。N.Y.に行かれた時は是非! River Cafe   1 Water St. Brooklyn   電話718-522-5200

     

後は、雪の積もったセントラルパークを散歩したり、中華街やソーホーを見て食べ歩き、5番街で現代ティファニーを買ったり観光。丁度、アメリカでポケモンが大ブレイクしていた時だったので、街中を走るイエローキャブ(タクシー)が、黄色い車体を利用してピカチュウの顔になって走り回り、可愛かった。意外だったのが、街にスーパーマーケットが殆んど無い事。小さなコンビニは沢山有ったけれど、美味しそうな食材や調味料、お菓子等を売るスーパーが無かったのが、ちょっと残念。南極旅行で一緒だったニューヨークの弁護士をしているお姉さん曰く、週末に郊外の大型スーパーでまとめ買いをするので、オフィス街では需要が無いとか。でも、超中心街にお住みの方はどうしているのでしょう?

  

その後、楽に20度は気温差のあるアルゼンチン、ブエノスアイレスに飛び、南極旅行後、再びニューヨークに戻った。ニューヨークからの帰りの飛行機が凄まじい乱気流に巻き込まれ、急降下して、乗客絶叫。もう駄目かも〜。。。と思ったのも、思い出の一つ。

帰国して丁度、半年後。2001年の9月11日。信じられない衝撃映像をテレビで見てしまった。無差別テロが起き、2台の旅客機がWTCにクラッシュ、砂山でも潰すが如くツインタワーがもろくも崩れ去る光景を見て、余りの現実離れした映像に、映画のワンシーンを見ている錯覚に襲われた。半年前に上った、あの頂上、お茶を飲んだりウィンドウショッピングした地下街、のんびり読みふけった大きな本屋さん・・・色々な光景が鮮明に思い出され、哀しかった。あの巨大な建物の無い、ニューヨークはどんな、摩天楼になってしまったのだろう。この貿易センターは、私の先生のご主人や、ロンドンで知り合った金融関係の友達、生徒のお父さん等、多くの人が働いていた場所でもあったので人事と思えなかった。もう他界されたけれどこのビルを建築した日系2世の建築家、ミノル・ヤマサキさんも、胸を痛めていると思う。何の罪も無い、莫大な犠牲者の方のご冥福をお祈りしたい。。世界の中心地、大都会故の悲劇だな。