Holand

 

寒い冬が終わり春がやって来ると日本ではお決まりの桜を見たくなるもの。それと同じ様な感覚で“お花見”気分を味わいたい人は、ヨーロッパでは、オランダのチューリップを見に行かなきゃ・・・と口にする。若い頃は(?!)さほど花にも興味が無く、何せ4月、5月は地獄の試験山積みシーズン。渡英して数年は、精神的にかなり参る時期でチューリップどころではなかった。時は流れ、生活や勉強にも慣れ、メンタル面も強くなり過ぎた6年目の春、ふとイギリスでの春もこれが最期かな・・・と思うと、週末の短い期間でいいから、その春の風物詩を眺めてみたくなる。

思い立ったら即行動!チューリップ満開予想日もぴったり希望の週末と重なりそうだし、チケットを購入、飛行機にてオランダ、スキポール空港へ。いつも通り、現地入りしてからインフォメーションセンターで宿を探す。生憎、その日は雨。キューケンホフのチューリップ公園は翌日に延期。初日はアムステルダム観光をする事にする。なので、アムステルダムでのホテルを受付でお願いしたところ丁度大きな花祭りが行われていて、アムステルダムは勿論、周辺の町も宿たる宿が全て埋まってしまったとの事。ゲッ。。まぁ、予定はしていなかったものの、郊外に行ってみるのもいいかも♪と思い空き宿を探してもらった。コンピューターに目を通した係りのお姉さんが『ゴーダとデルフトどちらがいい?』と聞く。ん?2つともどこかで耳にした事のある単語。。・・・そう、ゴーダチーズの町、ゴーダとデルフト焼きの町、デルフトである。そう考えたら妙に親近感が沸き、チーズと焼き物、どっちにしよう??と悩みつつ、やはり陶器好きとしてはデルフトが気になり決定。駅近くの所を押さえてもらった。雨が結構降り続いているので、オランダらしい傘を探してみた。期待通り、取っ手がチューリップの形をしている真っ赤なパラソルをゲット♪

 

アムステルダムから1時間程電車に揺られ、到着した陶器の町デルフトは、とても穏やかな田舎町だった。プチホテルにチェックインして、部屋に入る。オランダっぽい可愛い花柄の壁紙の部屋に満足。入ってギョッとし、同時にさっすが!と感心させられたのがパウダールームの便器が派手〜なデルフト焼きだった事(笑)

荷物を置き、身軽になって早速アムステルダムへ。まず向かった所はアンネ・フランクの家。小学生の頃『アンネの日記』を読んで今の世の中では考えたくもないナチスの残酷さにショックを覚えたが、今回その本の舞台、まさに彼女がその日記を書き綴った場所を訪れ、目の当たりにし、強烈に凹んだ。隠れ家の入り口の回転本棚や、実際使われていた家具、暗くて小さくて低い天井の屋根裏部屋等、重苦しい空気が漂う。(アンネ宅もデルフト焼きのトイレだった事をチェック・・・)ベルギーのパトラッシュ達とは訳が違い、こちらは実話。どんな気持ちで怯えながら毎日毎日を、ここで過ごしていたのかと考えると涙が出てきた。おまけに外は雨がショボショボと降り、肌寒く、家の前に立つアンネの像も冷たく濡れていて、初日に一気に落ち込んでしまった↓↓↓

何とかテンションを上げようと散策。有名なマヘレの跳ね橋や美術館等を見て周る。幾つもの運河が町中を扇状にぬって走り、それに沿って17世紀からの可愛いカラフルな家が立ち並び、美しい都市だった。散策しているうちに日は暮れ、辺りが暗くなる。大学の教授がイギリス人とオランダ人のハーフだった為、オランダの麻薬やら尊厳死の選択の自由等、なんて開放的な国だと驚きはしていたが、夕方から夜に掛けてそこかしこに点在する噂の飾り窓にアムステルダムの別の顔を見て、目が点になった。オランダで人気のインドネシア料理を食べて更にブラブラ。昼のオランダ料理、パンケーキと言い、オランダの食文化はイマイチかな??美味しい所も、もっと探せばきっと有るのだろうけれどイギリスに通じるモノを感じた。ちょっとヘビー過ぎた1日だったので、明日の花見に因んで、例の花祭りを見に電車で移動。その日のパレード終着点にて停められている全て花で作られた大きな山車を鑑賞。カラフルな花で埋め尽くされたペンギンやらお城、ツタンカーメン等華やかで可愛らしいオランダならではのお祭り。ちょっと気持ちが晴れる。明日はお天気も晴れます様に・・・。

翌日、目を覚ますと、やった♪快晴!チューリップ日和!!朝一でキューケンホフに向かう。昨日の雨にも負けず、タイミングも良く満開ピーク時だった。ポスターやカレンダーでチューリップの景色というと、ここの登場率は非常に高い。これでもかと多種多様なチューリップのオンパレードで、本当に鮮やか。可愛い!・・・と、少々女の子らしい気持ちになった。冬の間セミのように地面で我慢して、春になってやっと顔を出す。でもその命は1週間ほど。短い花の命の中でチューリップの世界も結構奥深いのねぇと、しっかりお花見。

   

数時間、散策しながら旬の香りを沢山吸い込んで、お花見を満喫した後は、電車に乗って、ザーンセ・スカンスという名の町へ。これぞ、オランダの典型的景色!といった所である。オランダのオランダ村の様な雰囲気で、ゆっくりと回る大きな風車、川沿いに並ぶ白い縁取りをしたモスグリーンの家等コテコテにオランダ(笑)

夜のフライトに合わせ、再び電車で移動。車窓の景色は平坦そのもの。本当に山1つ無い。見渡す限り運河か緑の大地が広がる。国土の40%は海面下にあり、丘陵地帯の最高地点でもたったの321mしかないそう。水に浮かんだ島の様だ。度々通り過ぎる広大なチューリップ畑の鮮やかさに感動しながら、春のウキウキ感いっぱい♪素敵なお花見週末となった。